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地球人口80億―国と国との争いに個人が巻き込まれる時代の楽園とは
2022年11月8日に始まったアメリカ中間選挙は、11月18日夜(日本時間)になりようやく上院定数100議席のうち民主党が過半数の50議席、共和党が48議席と2議席を残すに至った。今後のアメリカ政治の行方を担う重要な選挙であるが、IT先進国を名乗りながら投票後10日を過ぎても集計作業が終わらないもどかしさは、国会議員を決める国政選挙や知事や市議を決める地方選挙など直接選挙に慣れた日本人には少し違和感がある。米大統領選挙の集計に時間がかかる理由は、代理人を通した間接選挙であることに加えて州ごとに集計システムが異なるためで、選挙結果の発表までに時間がかかるのは都度のこと。とりわけ個人的に印象に残ったのは、この選挙が大統領選の本選でない中間選挙で、かつ集計に日にちがかかるにも関わらず、民放各局が繰り返して結果の決まらない選挙の途中結果をニュース速報として流していたことである。
ともすると国内選挙以上に注目された報道であったが、結局のところ中間選挙の結果は未だ最終集計に至っていない。与党民主党のジョー・バイデン大統領と共和党トランプ元大統領の構図にメディアが注目するのは理解できる。仮にトランプ大統領が返り咲くと再びアメリカファースト路線に舵を切るため、米国が経済支援額の55%を占めるウクライナへの援助が滞る懸念も囁かれる。しかし世論調査によると米国一般市民が本当に気にしているのは、ロシア対ウクライナの戦いよりも、個人の消費生活に直結する日用品や食料品の値上げに伴う物価高、石油や天然ガスなどのエネルギー供給問題、そして何より最低賃上げを含めた労働雇用率の改善である。もっとも日本にとっては、米国内需の景気と雇用が改善されれば懸念される円安も連動して改善するだろうと見込みたいが、現状のまま米国の景気が後退し続けたら、今後数年以内にリーマンショックを超える1930年代に全世界を陥れた世界恐慌の再来すら現実味を帯びてくる。
折しも開票期間中の11月15日、国連は地球人口が80億人を超えたと報じた。大陸間のみならず世界の隅々までもがインターネットで結ばれてしまった現代、国と国との争いごとにいつしか個人は巻き込まれ、地球上に楽園など存在しなくなった。宗教を信じて崇めても、時の早さには神様すら届かない。もはや救世主が降臨する術はITやイノベーションしかないのだろうか。46億年前に地球が生まれ、人類が誕生したのは僅か20万年前。増え続けて行き場を失った現代人は、地上の楽園を追い求めることを止めて、ゴーグルをつけたバーチャルリアリティのメタバース空間に仮想の楽園を求めている。かたや一方で全世界の半分におよぶ潤沢な富を手にした200人足らずのミリオネラーだけが、覇権争いのごとく先を争いこぞって宇宙を目指している。
あと2年で21世紀も四半世紀を迎えるが、子供の頃に自分が描いていた夢の21世紀から次第に離れていく現実に対して、風穴が開く思いや無常を感じているのは、きっと自分だけではないだろう。世情を好転させたく思いを綴らせても根本的な解決策など何一つ見つからない。ただユートピア的で刹那な発想ではあるが、もしかしたら今我々が好奇心を抱いているメタバースな仮想空間は、未来の人類を救うイノベーティブな楽園のプロトタイプになる種かも知れない。
【参考URL】
アメリカ中間選挙2022.開票状況2022年11月18日現在.NHK(2022/11/18)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/us-election/
世界人口は2022年11月15日に80億人に達する見込み.国連広報センターHP (2022/08/18)
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