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Research ethics
5月15日、九州北部は1951年に気象観測が開始されて以降、統計上2番目に早い梅雨入りを迎えた。そんな雨天の中、陸上自衛隊は霧島演習場でフランス陸軍・アメリカ海兵隊と合同の3カ国訓練を行いました。フランス軍が日本国内で実動の合同訓練をするのは今回が初めての試みで、背景には数年来、東シナ海沖合いでその数を増している中国籍軍艦や漁船の活動を警戒する狙いがある。この合同訓練に対して中国外交部は、日本で行われた日仏米合同訓練に向けて抗議のコメントを発表している。またその一方で同日、中国国家航天局から無人火星探査機「天問1号」が米国、旧ソ連に続いて3番目に火星の着陸に成功し「中国宇宙強国入り」 とのニュースが報じられた。私はこの2つの記事を同じ紙面で隣り合わせに眼にしたとき、国家間の競争である新冷戦の舞台が地上と宇宙の双方で留まること無く繰り広げられていることを実感し、とても不安に思いました。
2021年、今や宇宙空間を見上げて未知なる星へのロマンを語ることは幻想に過ぎません。近世ヨーロッパでは死亡率の低下から人口爆発を抱え食と住を求めて多くの人がアメリカ新大陸やアフリカに渡りました。明治の近代化以降、農村危機問題の解決のために多くの日本人が新生活を求めてブラジルサンパウロやハワイ王国へ渡りました。地球人口の爆発に対応するための宇宙開発という大義名分はありますが、月や火星を権力の象徴ととらえて、国家が先を争い開発競争を先導しているとしたら、果たしてそれが人類の幸福に繋がるものかと疑問でなりません。未知の宇宙を探求する一流の科学者達は、外部環境の変化によってはともすると国家の覇権争いに加担し利用されている労働者かもしれません。宇宙開発には莫大な費用がかかります。こうした予算を地球環境保全、人口問題の調整、貧困や飢餓対策、そして新型コロナウイルス等の新興感染症の撲滅など、今直ぐにでも解決が必要とされる課題により多く割り当てるべきではないでしょうか。科学者は常に自らの研究の方向性が、社会のどの様な場面で人々の幸福に寄与することが出来るのか、また事によっては万が一でもマイナスに作用してしまう可能性はないのだろうかと、自ら先端科学技術の用途や応用性について見極め判断していくリサーチエシックスに十分気を尖らせなければなりません。
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