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競争原理から放たれ、個人的に度々再生した曲 (2024)
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当たり前だが、年末を経て新年を迎えると西暦が一つ進む。自分は早生まれのせいか「また歳が上がる…」と無意識に意識していたが、この数年でそうした感覚がどんどん鈍くなった。昨年末からその理由について考えていたが、どうやら世代や流行に対する競争原理から解き放たれたからだと気づいた。この解釈は自分なりに眼から鱗で、例えば音楽なら、以前は毎週J-WaveでクリスペプラーがナビゲートするTOKIO HOT100チャートを✓したり、誰かが批評した名盤ばかり聴いていたが、最近は新旧やジャンルを問わず自分の気になる曲を聴くようになった。学生時代に傾倒した軽音楽部の影響も良い意味で薄れてきた。特に月が替わるごとに聴く曲や、中高生の頃に聴いた曲にノスタルジーを感じ、これが実に心地良いのである。ここは個人のブログゆえ、少し勝手に曲紹介をさせていただこう。
月の曲の雄といえば、何といってもセプテンバーである。多感な時期に聴いたアース・ウインド・アンド・ファイアー『セプテンバー (1978)』の華やかさと、「からし色のシャツ追いながら」のワンシーンで始まる竹内まりやの『September (1980)』のストーリーは、耳にするたびセピア色の気持ちになる。角川文庫世代の自分としては、ここは原田知世バージョンで昭和レトロな気分に浸りたい。
また毎年1月になると聞きたくなるのが、ジャズピアニスト・大江千里の『JANUARY (1985)』と、UKポップバンド・パイロットの『ジャニュアリー (1975)』である。パイロットは『Magic (1975)』の方が耳馴染かもしれない https://www.youtube.com/watch?v=ASGgn8bNQuA。FM横浜から流れる「大江千里のBoys&girls」は癒される番組だった。
2024年の前半は、幼い自分が洋楽に目覚めた最初の曲であるプロコルハルム『蒼い影 (1967)』を追憶するK-POPの名曲、レットベルベットの『Feel My Rhythm (2022)』をループのように再生した。言わずもがなこのMVの魅力は、ミレーやクロード・モネの西洋絵画を盛り込んだ世界観にとどまらず、320年も前に作曲されたヨハン・ゼバスティアン・バッハ の『G線上のアリア (1723年頃)』の引用にある。小澤征爾が指揮するバッハの旋律にも、聴いても聴いてもまた聴きたくなる輪廻のような響きがある。この曲をサンプリングしたスウィートボックスの『Everything's gonna be alright (1997)』も耳に入れば最後、マルセル・プルーストのマドレーヌ効果のごとく、心にミレニアム前夜の空気を淡くじんわり漂わせてくるのだ。
さて、プレイリストを見るに2024年に最も再生したのは、Official髭男dismの『日常 (2023)』であった。この曲は、23:00過ぎに帰宅してTVを点けると流れてくる日本テレビNews zeroのテーマで耳に残るようになった。日常というタイトルのごとく気だるい歌詞に共感しつつ、最もノスタルジーを感じるのは分厚いジャズ・コーラスのギターが奏でるイントロのフレーズである。そう感じてしまう訳は、ジョンサイクスの『Please Don't Leave Me (1982)』に憧れて黒のレスポールを買い、将来は音楽の仕事をしていると本気で思っていたあの頃の自分自身へのオマージュかもしれない。
今でもこの瓜二つなギターフレーズを聴くと、走馬灯のごとく平静さが掻き乱され、脆い杵柄にも似た媚薬感覚に陥ってしまう。当面、まだしばらくの間は音を奏でる物体を手にしたいとは思わないだろう。
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